歯垢とバイオフィルムの違い
口の中の汚れとしてよく聞く言葉に、「歯垢」「バイオフィルム」「歯石」がありますが、それぞれの違いについてご存じですか?
「歯垢」とは、食後8時間程度でできる微生物の塊のことです。食べかすが細菌の栄養源となるために、食後に発生します。
歯垢が口腔内に長時間留まって膜のようになったものが「バイオフィルム」です。
「バイオフィルム」とは微生物の集合体のことです。数種の細菌がコミュニティーを作って増殖した膜状のもので、細菌が外的要因(薬剤、体内の免疫反応、口腔内の環境変化など)から身を守るために作ります。台所や風呂場の排水口や川底の石にヌルヌルとした膜ができることもありますが、あれがバイオフィルムです。
歯周病の直接の原因は歯垢、つまりバイオフィルムです。歯と歯肉の境目には歯肉溝(しにくこう)とよばれる浅い溝があり、そこにたまった歯垢中の細菌が歯周病の原因になります。
バイオフィルムには以下の特徴があります。
・細菌が塊を形成しバリアとなるため、薬剤や体内の免疫系が作用しにくい
・対象物にこびりついているので除去が困難(ブラッシングが必要)
・内部で作られた病原因子や毒素が局所に滞留して疾患(歯周病)を誘発する
歯垢は食後の歯みがきで取り除くことができますが、膜のようになって歯に付着しているバイオフィルムの状態になると、歯科医院のクリーニングでないと取り除くのが難しくなります。
さらに、歯垢が唾液中に含まれるカルシウムやリンと反応して石灰化すると「歯石」となります。歯垢が歯石になってしまうと、日頃の歯みがきだけでは取り除くことはできず、歯科衛生士に歯石除去をしてもらい、歯科医院での歯のクリーニングを受ける必要があります。
バイオフィルムや歯石がつくと、専門的なクリーニングが必要となりますので、毎日の口腔ケアで歯垢をきれいに取り除いて、汚れを残さないようにしましょう♪