今回は虫歯治療の後にシミる、神経治療のあとに痛みがでる。こういった治療後の不安について説明していきます。
まず、虫歯を削って詰めたのにまだシミるという経験はありますか。実は、虫歯菌に感染した象牙質を取り除いて詰めるには、象牙質を通る細い神経の末端も一緒に削り取らざるを得ないのです。また、細菌が神経へと入り込んでいる場合、生体が炎症を抑え込むまで軽い違和感があります。様子を見ているうちに症状が消えてしまうことがほとんどです。できる限り神経を保存して歯を長く使い続けるには歯科医師といっしょにしばらく様子を見ていきましょう。
また神経を取る治療に関して、治療する前はたいして痛くなかったのに、神経を取る治療をはじめたら痛みと腫れが起き不安に感じたことがありませんか。じつは、どんなに腕のいい専門医が治療しても約3%起きるという発作的な炎症で、しっかりのよい治療をするほど起きやすく、歯科医師の悩みの種となっているんです。
細菌感染を起こしてして死んでしまった神経を取り除く治療中に起きがちなこうした痛みを「フレアアップ」と呼んでいます。
神経が死んでいると、たとえ歯の内部や歯根の先に膿がたまって深刻な状態になっていても炎症が慢性化し自覚症状がないという患者さんは以外に多いものです。治療がはじまり予期しない痛みに患者さんは不安になってしまいます。でも、安心してください。フレアアップは一時的な炎症で、治療が失敗したわけではありません。腐食した神経を取り除き詰め物をして歯を使い続けるには、歯根の先までしっかりと器具を通して掃除する必要があります。しかし、そのことは同時に炎症箇所を刺激することによって、フレッシュな酸素を根の先に送り込むことになります。根の先で炎症を慢性化させ静かにしていた菌は、器具の刺激と酸素によって一気に活気づきます。増殖し、膿とガスを出して周囲を強く圧迫するために激しい痛みと腫れを引きおこすのです。こうした時は、抗生剤を飲んでいただき、治療途中の仮のふたを外して膿を出すなどと応急処置をします。すると数日で痛みと腫れが引きグッと楽になります。急激な痛みで驚かれるでしょうが、しっかりと歯科医師が対応いたしますので、最後まで治療を受けましょう。

記事監修者
いまもと歯科クリニック歯科医師 今本裕紀
【経歴】
- 四天王寺中学校卒
- 四天王寺高校卒
- 大阪大学歯学部卒
- 勤務医を経て2010年「いまもと歯科クリニック」を
奈良県 葛城市北花内にて開院
いまもと歯科クリニックでは、むし歯や歯周病などの治療はもちろん、インプラントや分子栄養療法といった治療まで幅広く対応しています。お口の健康と心からの笑顔を地域のみなさんに届けできるよう、最善を尽くしております。
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