歯根の治療は難しい?
神経は歯を生かしている大切な器官。細菌が入り込んで神経が侵され激しく痛んだり感じの神経が死んでしまった。そんな歯を残したい患者さんのための究極の技、それが歯根の治療感染を起こした神経ごと細菌を除去する。いわば歯の外科手術なのです。
神経をとらなければならないってどんな時なのか。神経とは栄養や水分を歯に供給する大切な器官です。顎を通りそして脳へつながる、高性能センサーとしての役割も担っています。神経は歯の生命維持をつかさどり、歯科にとって歯の神経の健康をいかに長く維持するか、最も重要な問題です。ただし、虫歯等が原因で、歯の内部に細菌が入り込むと神経が細菌感染を起こしてしまいます。痛みが強く患者さんの生活に支障が出たり、神経が壊死して回復が望めない場合、感染した神経を取り除かざるをえません。これが歯根の治療です。
細菌感染のために神経が壊死をしてしまうとセンサーが働かなくなるためそれまで感じていた。痛みが一時的に消えます。ところが実際には神経の命とともに細菌に対する歯の抵抗力も失われるので、内部では細菌がどんどん繁殖しています。痛くないからと放っておくと、いずれ突発的にひどく腫れたり、強い痛みで悩まされることになります。早めの治療を心がけましょう。ではどのように治療するのでしょうか。細菌の繁殖している歯の内部を清掃し、細菌を除去します。歯根の長さを測り痛めないように細心の注意を払って、壊死した神経と感染している細菌を取り除いていきます。神経を取り除いたら空になった根幹内を薬液で洗浄し、根管内を殺菌します。殺菌した根管内に再感染しないよう、根管内に薬を貼付し、仮の蓋をします。膿などの炎症がないことを確認後、根管に詰め物をします。ゴム状の詰め物を歯根の先端までしっかりと詰めていきます。詰め終わったら最終の蓋をします。これで歯根の治療は終了です。かぶせ物が必要な場合は、次にクラウンやブリッジをかぶせる治療を受けていただきます。
根管治療が難しいその訳は、1つは技術的に限界があると言うこと。もう一つの理由としては、敵は細菌なので、治療後最終的に治癒に至るには患者さんご自身の体の抵抗力の強さも重要な要件となるからなのです。患者さんの歯はとても個性的で根管が隠れていたり、中にはどうやっても根幹器具が届かないのもあり、清掃が困難の歯が数々あります。
根管治療の再治療はさらに難しいです。すでに1度歯根の治療をしてある歯に、再び炎症が起き、再治療が必要になると初めて神経を取った時よりも治療の成功率が落ちてしまいます。歯根の先まで詰まっている詰め物を残らず取り除くのが難しく、薬剤が届きにくいのも一因です。どんなにうまい歯科医師でも、成功率が落ちてしまうのが再根管治療の難しいところです。
さらなる奥の手の根尖切除術とは。歯根の治療が終わりました。先生からこれでも良くならなかったら根っこを切る手術を検討しましょうと言われました。どういう治療なのでしょうか?歯槽骨に小さな穴を開け、細菌感染した歯根の先を切除します。歯根の先の外側まで細菌で汚れていて、歯根の治療をしっかりと行っても細菌を除去できない場合に適用されます。
治療後すぐに痛みが引かないのはなぜですか?歯根の治療とは小さいとは言え、歯から脳までつながっている神経の1部分を切り取る外科手術です。体の1部を削除するのですから当然少なくとも数日は痛みが続きます。治療後すぐに痛みがなくならないのはそういうわけなのです。治療途中で楽になっても最後まで通いましょう。治療途中で楽になったし忙しいから。と治療中断して放置すると長期の封鎖を本来想定していない。仮の蓋が壊れ、再び細菌が入りかえって悪化して治療が困難になります。予約通り最後まで通いましょう。歯根の治療が終わって、しばらくは柔らかいお食事をしましょう。歯根の治療が終わり久々に辛い痛みから解放されると安心してお食事ができるようになりますね。残すことのできた歯根の上に新しいクラウンが入り、見た目も治療前よりむしろきれいになっていることでしょう。これでもう何でも食べられると張り切りたくなるお気持ちわかります。歯根の治療とは生体を切り取る外科手術です。例えばもし皆さんが足の手術をしてしばらく歩かずにいたとします。治療が終わったからといって、すぐにいつも通り、ぐっと足に体重をかけて歩きまわることができるでしょうか。リハビリで筋肉を鳴らし歩く練習をして、徐々に元の生活へ戻っていくのだと思います。手術を終えた歯にもぜひ同じような配慮をお願いします。噛む力と言うのは私たちが思っている以上に強いものです。奥歯でぐっと噛む時などは数十キロにも及ぶ力がかかるので、手術後の思考にこんな強い力がかかったら、痛みや違和感が出て当然です。歯の周りにも歯根膜と言うクッションがあり、その膜の繊維が歯を被うことで強い力がかかっても歯と歯槽骨が直接ゴツゴツとぶつからないように機能しています。歯根膜は、噛む力の強さ、弱さを感知する敏感なセンサーでもあります。治療前や治療中の痛んだり違和感がある間、患者さんはなるべく噛むことを避けて生活なさっています。そのため、その間歯根膜のセンサーはずっと休んでいる状態です。食べられるようになって、患者さんがもしも噛みごたえのあるものを食べ、突然ぐっと噛み込んだらどうでしょうか、それまでしばらく休んでいた歯根膜に、非常に強い力がいきなり加わることになります。すると敏感なセンサー歯根膜は、そのショックで悲鳴を受けます。悲鳴は痛いと言う状態で脳へ伝えられるのです治療の終わった歯に過剰な力がかからないよう、まずは柔らかいものを食べて過ごしてください。そしてその様子を見て、少しずつかみごたえのあるものへと慣らしていってください。治療した歯を大事に使い続けるには一定の配慮が必要です。ご自分の歯と同じように、毎日のブラッシングと歯科医院での定期チェックを受けるようにしましょう。