早期発見!注意したい永久歯の生え方&仕上げみがきのポイント|いまもと歯科クリニック|奈良県葛城市の歯医者

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早期発見!注意したい永久歯の生え方&仕上げみがきのポイント

早期発見!注意したい永久歯の生え方&仕上げみがきのポイント

奈良県葛城市いまもと歯科クリニック受付の芦髙です。

口・あごの発達がいちじるしい学童期になると、お子さんのは歯はどんどん乳歯から永久歯に変わっていきます。乳歯は上下合わせて20本、永久歯になると8本加わり28本(親知らずを除いて)。永久歯はその名前の通り生え変わることがありません。一生付き合う歯ですので、とても大切です。

歯が生える時期はお子さんごとにずいぶんと違います。そのため「うちの子は遅いの?」などと心配される方もいるでしょう。しかし、平均的な歯の生えはじめ(萌出)の時期は数年単位の個人差があり、成長がゆっくりなだけのこともありますから、それほど心配はいりません。
ただ、歯の萌出をさまたげる要因が潜んでいることもあるため、歯科医院での見極めが大切です。発見が遅いほど対応が困難になり、さらに放置すれば、その後の成長に悪影響を及ぼすことがあります。

では、乳歯から永久歯へのスムーズな生え変わりとはどのようなものでしょうか。それは乳歯が抜けてほどなくして永久歯が生えてくることです。
過程を簡単に説明すると、
①歯ぐきの中で乳歯に続く永久歯が乳歯の根を刺激する
②刺激を受けた乳歯の根が短くなって乳歯が抜け落ちる
③永久歯が歯ぐきから現れる
というものです。
しかし、あごの成長が小さかったり、大きな乳歯の虫歯などがあったりすると、生え変わりが上手くいかないことがあります。
たとえば乳歯の根が短くならずなかなか抜けなかったり、そのため別の場所から永久歯が出てきたり、傾いて生えてきたり、永久歯が歯ぐきの中にとどまってしまうことがあります。また、永久歯が多い(過剰歯)、逆に少ない(先天欠如)といったこともあります。このように歯の生えかわり時期にはさまざまな問題が潜んでいたりします。いずれも歯並びや噛み合わせに影響する問題です。

そのような「永久歯の生え方の異常」として注意したい5つのポイントを紹介します。

①乳切歯の残存と下あごの切歯の舌側転位(ぜっそくてんい)
乳歯が残ったまま、次の永久歯が生えてきて、一時的に2枚歯になっている状態をさします。下の前歯でよくみられます。
永久歯が内側から生えてくること自体は異常ではありませんが、乳歯が長くとどまる場合は、注意が必要です。
【治療法】
2枚歯でも乳歯がグラグラして痛みがなければ、乳歯の根が短くなり、自然に生え変わると思われますし、スペースが十分にあれば舌の力でしだいに前方へ出ていきます。このような場合は経過を見て抜けるのを待ちます。
一方、乳歯がグラグラせず、レントゲン撮影で歯の根がまだ長いことがわかれば、歯みがきのしやすさなどを考慮して早期に乳歯を抜歯することもあります。いずれの場合も歯並びや噛み合わせの状態により、矯正治療を検討することもあります。
【早期発見が大事な理由】
乳歯の根が溶けていれば、舌側(内側)から永久歯によって押し倒されるようにして、短期間のうちに乳歯は抜け落ちます。しかし、乳歯が長くとどまる場合では、食べ物がつまりやすく、歯みがきがしにくいといった問題があるほか、永久歯の萌出スペースが小さく歯並びに悪影響を及ぼすシグナルであることも多く、注意が必要です。

②萌出遅延(ほうしゅつちえん)
何らかの原因で永久歯がなかなか生えてこないでいる状態をさします。永久歯の萌出の大幅な遅れにより、隣にある永久歯や歯並び、噛み合わせ全体まで影響が及ぶことがあるため、注意が必要です。
【治療法】
永久歯の形成そのものが遅いだけの場合もありますが、生えてくるうえで障害となる他の原因があればすみやかに対応します。
具体的にはいつまでも残ってる乳歯や過剰歯の抜歯、まれではありますが歯牙腫の摘出などです。それでも永久歯が生えてこない場合には、歯を引っ張り出す手術や矯正治療などを検討します。
【早期発見が大事な理由】
永久歯の萌出遅延をそのままにしておくと、隣の歯の永久歯の根にぶつかり、歯根吸収(歯の根を溶かす)を引き起こしてしまうこともあります。また、永久歯の萌出遅延が長引けば、将来的に「埋伏」と呼ばれる状況(自然に生えてこない状態)となり、歯並びや噛み合わせにも大きな影響を与えます。

③異所萌出(いしょほうしゅつ)
歯が本来生えるべき位置から離れて出てきたり、大きく傾いたまま生えてくる状態をさします。いわゆる「八重歯」はまさに異所萌出です。この八重歯よりも多く、しかも早い時期に起こるのが、第一大臼歯(6歳臼歯)の異所萌出です。6歳以降によくみられます。なかなか歯が出てこないため、レントゲン撮影で発見されることもあります。
【治療法】
異所萌出に対しては、「スペース確保」と「傾きの修正」のための治療を行います。
スペースの確保では、ゴム製の素材(モジュール)などを第一大臼歯と隣の歯のあいだに挟んでスペースをつくったり、乳歯を一部だけ削って引っかかりを取り除いたりします。それでも効果がなかったり、これらの治療ができない場合は矯正治療を行います。
【早期発見が必要な理由】
第一大臼歯の異所萌出の程度が大きい場合には、第一大臼歯が遅れて生えてきたり、ある
にある第二乳日歯の下にもぐりこむことに
いは完全に生えない状題のままで対の歯と噛
って、乳日歯が早くに抜け落ちてしまうこと
み合ったりします。そうすると対になる歯が
があります。これらはいずれも歯並びや噛み合わせの異常につながります。
伸ですぎてしまうこともあります。また、隣にある第二乳臼歯の下にもぐりこむことによって、乳臼歯が早くに抜け落ちてしまうことがあります。これはいずれも歯並びや噛み合わせの異常につながります。

④過剰歯
正常な歯の数より多く存在する歯の状態をさします。過剰歯は、通常の方向に生える「順性過剰歯」と、逆向きに生える「逆性過剰歯」があります。このほか、水平に生えている場合もあります。上の前歯にもっともよくみられます。乳歯の時期に発見されることが多く、その後の永久歯列に大きな影響を及ぼします。
【治療法】
過剰歯が他の永久歯に影響を及ぼす場合は、時期をみて抜歯します。とくに逆生過剰歯では、処置しなければ埋まったままになりますので、抜歯します。抜歯後は、矯正治療により歯並びや噛み合わせを整えます。
なお、歯並び、噛み合わせに影響がなければ、処置をせず経過をみることもあります。
【早期発見が必要な理由】
永久歯が生えるべき場所に過剰歯が生えてくるため、スペースがなくなり歯並び、噛み合わせ、前歯が離れるなど、永久歯に影響が出ることがあります。
乳歯列期に過剰歯を発見してもすぐに抜歯できるとは限りませんが、抜歯までのスケジュールやその後の計画を立てるため、早期発見が大切です。
抜歯はできるだけ早期に行うことが望ましいですが、低年齢での抜歯は難しいため、抜歯時期を先送りすることがあります。ただし、年齢が上がりすぎると、抜歯が困難になることもあるため、かかりつけ歯科医師と相談して対応を決めていきましょう。

⑤先天欠如(せんてんけつじょ)
何らかの原因であごの中に歯が形成されない状態をさします。現在、約10人に1人の割合でみられるみられることがわかっています。1本〜多数の永久歯がつくられないことがあり、上の歯よりも下の歯に先天欠如先天欠如がある場合が多いです。もっとも多い永久歯の先天欠如は、下の第二小臼歯です。次いで下の側切歯、上の第二小臼歯、上の側切歯です。
【治療法】
先天欠如が判明したら、すぐに治療が必要になるとは限りませんが、乳歯をできるだけ残すために専門家による定期的な管理(むし歯・歯周病予防)が大切です。乳歯を代用できない場合は、以下のように矯正治療や人工の歯で補う治療を行います。
※多数の永久歯の先天欠如が疑われる場合は、大学病院などへ紹介することもあります。
・矯正治療
歯の移動によって永久歯の先天欠如のある部位を閉鎖する方法です。乳歯が抜ける前の学童期より治療が可能です。
以下の治療法と併用することもあります。
・ブリッジ
先天欠如部位の両隣の歯を削って土台をつくり、橋渡しするように人工の歯を入れる方法です。一般に乳歯が抜けた後の成人期に治療を行います。
・インプラント治療
あごの骨にネジを埋め込み、それを土台として人工の歯を入れる方法です。一般に乳歯が抜けた後の成人期に治療を行います。
・部分入れ歯
両隣の歯を支えにした、取り外しのできる入れ歯です。一般に乳歯が抜けた後の成人期に治療を行います。
このほか自分の親知らずなどの歯を抜いて、先天欠如のある部位に移植する方法もありますが、まだ十分に確立された治療法ではありません。

ここまで紹介した歯の生えかわり時期のトラブルを早期に発見するには、定期的にかかりつけ歯科を受診しチェックしてもらうことが必要です。3~4ヵ月に1度みてもらうことがのぞましいでしょう。
定期健診では、目で見て(視診)、触って(熱診)確認します。
その後、必要に応じてレントゲン検査を行います。
○目で見てチェック(視診)
むし歯の有無をチェックすることはもちろん、歯の数や生え方、乳歯のグラグラしている程度、永久歯が生えてくるスペースなどを確認します。
○触ってチェック(触診)
正常な場合、乳歯が抜けてしばらくすると歯ぐきに盛り上がりがみられます。
永久歯が歯ぐきを突き破って出てこようとするサインです。このサインがあるかどうかを、触って確かめます。
○歯ぐきの中をチェック(レントゲン検査)
視診、触診を行って疑わしい場合には該当箇所のレントゲン検査を行い、歯ぐきの中で起きていることを確認します(レントゲン検査は、定期健診で毎回撮ることはありません)。
7歳を過ぎたら、一度、パノラマレントゲン撮影(お口全体の写真)による検査をおすすめします。
パノラマレントゲン検査では、お口の全体を確認することができます。歯ぐきの中にある永久歯の状態などをこの時期に確認することで、問題に早く対処できます。

マスク生活の影響から、最近では矯正治療を受けるかたが増えているように思います。治療経験のある親御さんもいることでしょう。じつは、大人になったときの歯並びや噛み合わせの問題は、生えかわり時期のトラブルが直結していることが多いといわれています。つまり歯並びの問題は、永久歯が出てきたときにサインが出ているのです。しかも永久歯列の完成とともに問題は大きくなっていきます。歯並びが悪ければケアが難しくなり、大人になって歯周病が悪化するといったことにもつながっていきます。永久歯の萌出時に現れた問題は、その後のお口の健康維持の足かせとなってしまうのです。
何十年と使うお口です。できれば問題が小さいうちにつみ取っておきたいですよね。そしてしっかりと噛めるよう機能させていきたいものです。それを可能にさせるのが、定期健診による早期発見・対応なのです。

ここからは、仕上げみがきについてご説明します。
仕上げみがきの目的の一つとして、むし歯予防があげられます。ただし、むし歯予防だけが目的ではありません。
・むし歯予防
むし歯は、4つの条件がそろって発症するといわれています。その4つとは、「歯質」「糖分」「むし歯菌(プラーク)」「時間の経過」です。歯が生えてからイヤイヤ期のお子さんでとくに注意したいのは「糖分」、つまり食生活です。お菓子やジュースなどに気をつけていれば、むし歯になる心配はそれほどないでしょう。そのうえで日々のお口のケアで「プラーク」を減らしていきます。
また、むし歯予防には、フッ素配合歯みがき剤を使用することがとても大切です。歯が生えてからは1000ppm以下のフッ素配合歯みがき剤を使用しましょう。
・お口に触れられる抵抗感をなくしていく
生まれたばかりの赤ちゃんは、あごを触れられたり、お口のなかに異物が入ることを嫌がります。
何かが口に入ろうとすると反射的に舌で押し出そうとしたりします。これは原始反射の一つで、赤ちゃんにもともと備わっている反応です。
このような反射がいつまでもあると、ゆくゆく始まる食事や歯みがきのときに困ってしまいます。
ただ、成長にともなって、さらには繰り返しお口へのさまざまな刺激が加わることで、原始反射は消失していきます。そこで歯が生える前から唇やほっぺなどお口周りのマッサージをしていきますが、歯が生えてきてからもしばらくは続けていき、お口に触れられる抵抗を減らしていきましょう。そういう意味でも仕上げみがきは、とってもいい刺激になります。
・唾液をたくさん出す
親御さんの指や歯ブラシがお口のなかを触れたりすることで、唾液がたくさん出てきます。唾液には一般的にさまざまな効果があると言われていますが、むし歯予防もその一つです。

では、歯の生え方による仕上げ磨きのポイントを紹介します。
わずかに前歯が生えている場合(1〜2mm)は、ブラシ部分が細くなったタフトブラシを使って、やさしく歯を磨いてあげましょう。
前歯がだいぶ生えてきた場合は、上唇をめくると唇から歯ぐきにかけてのスジが縦にあるので、そのスジになるべく当たらないように歯ブラシでみがきます。歯ブラシを縦にするとよいでしょう。上唇を軽くめくったまま、力を入れずに細かく動かして1本ずつみがきます。内側(舌側)もみがいてあげましょう。
奥歯まで生えてきた場合は、とくにすき間のない上の前歯の歯と歯のあいだは、むし歯になりやすいため、歯ブラシをしっかりと当てます。プラークを落とせるよう、歯ブラシは毛にコシのあるものを選びます。タフトブラシがおすすめです。生えかけの奥歯には、タフトブラシを使うとよいでしょう。くわえて、フロスも使いましょう。前歯にすき間がないお子さんもフロスを取り入れましょう。前歯は外側と内側(舌側)だけですが、奥歯は外側と内側のほかに上下の歯の噛み合う面もみがきます。
赤ちゃんのお口のケアをするときは、親御さんのひざに裏かせて行いましょう。
この体勢は、お口の中がよく見えるだけでなく、赤ちゃんの頭をしっかり固定する意味でも重要です。頭がフリーな状態だと、赤ちゃんが突然頭を動かした際に、歯ブラシでお口のなかを傷つけてしまいかねません。頭の固定には、歯ブラシの事故を防ぐ目的もあります。
2歳ぐらいになったら、お子さん本人にもみがいてもらいましょう。その際、鏡を見ながらだと、興味が湧きやすいです。なお、お子さん自身でみがくときは、目を離さないよう十分に注意します。歯ブラシのネック部分が軟らかい素材のものでも、目を離したり、立ち歩きしながらの使用は避けなければいけません。もちろん、そのあとの仕上げみがきもだいじです。
また、お口の問題は、むし歯だけではありませんので、小さいうちから歯医者さんで診てもらっていれば、問題の早期発見につながり安心です。
そして、お口に関する悩みは相談して、一人で抱え込まないようにしてください。
みんなでお子さんのお口の健康を守っていきましょう。