歯科からはじめる認知症予防
「歯周病と認知症が関係している」だなんて意外に感じるでしょうか。歯周病にもっとも関係する菌ふぁPg菌です。近年の研究で「Pg菌が起こす炎症によって、アルツハイマー型認知症の原因物質が体内に増えること」そして「Pg菌が老人斑アミロイドBを脳内へと誘導していること」が明らかになりました。ではなぜ歯周病菌が脳の病気と関係があるのだろうと疑問に思うかたがいるかもしれません。でも、「歯周病ってどんな病気かな」と思いだしていただければ納得できると思います。歯周病は、歯周病菌が引き起こす感染症です。歯の隙間や歯周ポケットのプラ-ク(よごれ)に棲む歯周病菌が、歯茎に炎症を引き起こすことはよく知られていますよね。それでは、歯周病菌がなぜ歯の周りだけでなく、脳の病気の原因になるかというころをお話します。歯周病菌は歯周病の炎症でできた歯茎の粘膜に破れ目を入り口にして、血流に乗り、歯茎の内部はもちろん、からだにも自由に入り込んでいるのです。長い間歯周ポケットのなかに溜まったプラ-クや歯石を掃除しないと、歯周病にとって居心地のよい住処になってしまいます。なかでもアルツハイマー型認知症の原因物質の増加に関与するPg菌は、腫れた歯茎からの浸出液や血液が大好物。放っておくと、まるでPg菌にエサを与えて培養しているような状態になります。Pg菌は歯茎にたくさん入り込むと、免疫細胞は必死になって戦いますが、多勢に無勢で取り逃してしまします。逃げおおせた歯周病菌は体内を巡るうえ、この必死に戦う免疫細胞たちの過剰反応が、アルツハイマー型認知症の原因物質(Pg菌が老人斑アミロイドB)を増加させる事態になるのです。
まとめると、1.歯石プラ-クを住処としたPg菌が粘膜の破れ目から体内に侵入2.Pg菌と免疫細胞の戦いによって副産物アミロイドBが増加3.Pg菌とアミロイドBが血流にのって移動4.脳の血管に到達5.Pg菌の誘導にとって血液脳関門を突破したアミロイドBが脳内に蓄積し認知症の原因になります。
歯周病とアルツハイマー型認知症のつながりを理解していただけたと思います。しかし、歯周病痛みの出にくい病気です。歯磨きしたときに血がついてもほとんどの場合は痛みを伴いませんのでついつい放置してします人が多いようです。お口の慢性炎症を防いで認知症を減らすことができれば健康長寿でいることができるのではないでしょうか。歯周病をしっかり治すため、健康に長生きするために歯科医院に定期的に通いましょう。