奈良県葛城市の歯医者いまもと歯科クリニック 歯科衛生士の永石です。 本日は効率よくプラーク(細菌のかたまり)を落とす歯みがきテクニックについてお話しします。 毎日のお口のお手入れ、、、せっかくやるならしっかりプラークを落としたいですよね。できれば時間をかけずに簡単にすませたいと思う方もいるでしょう。実は歯には重点的に磨きたい部分とそうでない部分があります。ポイントを抑えた歯みがきでお口の健康を守っていきましょう。 そもそもプラークを落とすのはなんのためでしょうか?毎日朝晩の食後の歯みがきが推奨されてるのはなぜでしょうか? 実はむし歯も歯周病もプラークが関係する病気なんです。 プラークは細菌の塊でプラークの中には歯周病菌やむし歯菌などさまざまな細菌がいます。 プラークがあるからといって必ずしもむし歯や歯周病になるわけではありませんが、しかし、多くのプラークが同じところに溜まっていたり、あるいは病気をお持ちで抵抗力が低かったり、唾液が少なかったりすると、むし歯や歯周病を発生させることがあります。 また、プラークのなかの歯周病菌は口臭の原因にもなります。むし歯と歯周病にならないように予防するためにプラークを除去していきましょう! 〈ここを抑えておこう〉 ・プラークは食べカスではなく、細菌のかたまり ・プラークは数時間から数日で作られる ・プラークは歯みがきで除去できる ・歯みがきをしないとプラークの量がどんどん増え、粘りがでて、歯にしっかりとくっつくため、除去しづらくなる ・むし歯や歯周病の発症にはプラークが関係している ↓だから 毎日の歯みがきでプラークをしっかり落とすこと、溜めないことが大切です。 むし歯予防にはフッ素配合の歯みがき剤が有効です。ご自分の歯がある方では、歯みがきの時にフッ素を歯へ届けることも重要になります。 ◎知っておこう!プラークが溜まりやすい場所 プラークは、くぼみのあるところに溜まりやすいです。 例えば ・噛み合わせの面の溝 ・歯と歯の間(歯間部) ・歯と歯ぐきのさかい目 ・歯ぐきが下がっている部分(歯の根っこの部分) ・被せ物と歯のさかい目 ・詰め物と歯のさかい目 いまもと歯科では検診のクリーニング時にプラーク染色液をつかってプラークに色をつけて、患者さんのお口の中で、歯みがきが苦手なところやその人のプラークのたまりやすい場所を一緒に見つけ、歯科衛生士が歯みがきの指導をさせていただいております。普段プラークは白っぽい色をしていて、一見分かりにくいのですが、色をつけると一目でわかるのでプラーク染色液はおすすめです。 〈ここを抑えておこう〉 ・プラークは、おもに歯と歯ぐきのさかいめ、歯と歯のあいだ、噛み合わせの面の溝にたまりやすい ・被せ物、詰め物と歯の境目や、歯ぐきが下がっている部分(歯の根っこの部分)、となりの歯との段差のある歯(生えかけの歯や、歯が抜けているところ)、歯並びが悪い場合も、プラークはたまりやすくなる ・プラークがたまりやすい場所は、くぼみのあるところ。一方、歯のツルツルした面にはたまりにくい ・プラークがたまりやすい場所には、歯ブラシの毛先が届きにくく、磨きにくい ◎歯磨きの7つの大原則 〈大原則1 プラークは磨いて落とすもの〉 排水溝のヌメリも細菌のかたまりです。それを除去するときのことを想像してみてください。ゴシゴシとみがいて落としていませんか?ヌメリは、シャワーをかけただけでは落ちませんし、専用の薬液を使用してもそれだけではきれいになりません。スポンジやブラシをつかってこすって落としますよね。同じようにお口の中のプラークもブラシでみがかないと落ちないのです。 〈大原則2 まずは歯ブラシで磨けるレベルをあげる〉 歯周病があるかたでは、歯間ブラシの使用はとても重要です。歯ぐきが下がって歯と歯のあいだが開いている状態ですと、歯ブラシ1本で磨くことはなかなか難しかったりするからです。ただし、お口のなか全体をキレイにすることを考えたら、まずは歯ブラシでみがけるレベルを上げていくことが大切です。その上で、落とせないプラークがあれば歯間ブラシやフロスなどを使うようにしましょう。 〈大原則3 歯みがきは歯をみがくもの〉 歯みがきの指導のときに患者さんにみがいてもらうと、歯ブラシの毛先のほとんどを歯茎に当ててしまっているかたは意外と多いです。プラークのたまりやすい場所の1つが歯と歯ぐきのさかい目です。プラークが付いているのは歯の面ですから、ブラシを歯に当てることを意識していきましょう。 〈大原則4 歯ブラシの当たったプラークだけがおちる〉 闇雲におくちのなかで歯ブラシを動かしても歯ブラシがプラークに当たっていなければ落ちません。プラークをしっかり狙い撃ちしていきましょう。 〈大原則5 歯ブラシを90度に当てるとプラークは落ちやすい〉 浴槽や浴室のタイルについた汚れをブラシなどで落とす際に、その面に対してブラシを90度に当ててブラシを動かすはずです。その当て方がもっとも汚れが落ちるからです。同じように歯についたプラークも歯の面に対して、歯ブラシを90度で当てると落としやすいです。 〈大前提6 プラークは、ツルツルな面よりと“くぼみ”につく〉 前歯の平らな部分からむし歯や歯周病が発症することはほぼありません。発症する場所は、プラークがたまりやすい“くぼみ”があるようなところからです。くぼみは歯ぐきに近い部分に多いです。この部分に歯ブラシが当たるように意識して磨くことが大切です。子どもでは噛み合う面を注意する。被せ物や詰め物が入ってる方は歯とのさかいめもよく磨きましょう。 〈大原則7 歯の丸みを意識して歯ブラシを当てる〉 指で歯を触ってみるとよくわかると思いますが、歯は丸みをおびています。歯の面に対して歯ブラシを90度で当てるのがもっともプラークが落ちるので、丸みに応じて歯ブラシの傾きを変えていきます。歯の丸みは歯によってさまざまです。 ◎効率よくプラークを落とす歯みがきテクニック ①歯ぐきにダメージに与えないよう、歯ブラシを少し倒して磨く。歯と歯のあいだ(歯間部)は複雑な形をしており、もっともプラークが溜まりやすい部分です。ここには“歯ぐきの山”もあります。強い圧で横みがきをすると、歯ブラシが歯ぐきを刺激し、歯ぐきが下がってしまうことがあります。歯ぐきを守りながら、しっかりとプラークを落とすことが大切です。 ・まず、歯の面に対して歯ブラシを90度に当てます。 ・その後、歯ブラシを歯ぐき側へ少し寝かせます。歯ブラシの側面を、歯ぐきに沿わせるようなイメージです。 ・その状態で歯ブラシを小刻みに軽く動かすと、毛先が歯間部に入っていきます。 ②歯ブラシを歯ぐきに沿わせた状態で、隣の歯間部へ移動させてみがく ・①で歯の歯のあいだ(歯間部)を磨いたら隣の歯間部へ移動していきます。その際は、歯ブラシを歯ぐきに沿わせたまま移動させます。 ・隣の歯間部へ移動したら、歯ブラシをまた小刻みに動かします。 ・さらに隣の歯間部へ移動し、表面、裏面のすべての歯間部をみがきます。 ・歯間部を中心にみがいていますが、歯間部と歯間部のあいだの歯の平らな面も自然と磨けていることになります。 ◎歯ブラシ選びのポイント プラークを効率よく落とすためには、歯ブラシ選びも大切です。 歯ブラシ選びのポイントは、 ①一本一本の毛が密着しすぎない ②短すぎない(大人が子ども用の歯ブラシを選ぶのは×) ③コシがある ④細い毛 ⑤ヘッドが大きすぎない です。 歯とはのあいだに毛を入れやすくするためです。 ︎point 歯ブラシは全面使わなくても問題ありません。 ・歯ブラシは、無理をして全面を当てる必要はなく、一部の毛が当たればプラークは落ちます。 ・歯ブラシの毛を見たときに、「つま先」「わき」「かかと」と考えたとした場合、特に歯の裏側はつま先も使うとよいでしょう。 ほとんどの方が1日2回以上、歯をみがいてると思います。このような習慣がついていることは、とても素晴らしいことだと思います。ただ、歯みがきの指導を受けたことがなく、効果的なみがき方を身につけている人は少ないのが現状です。「毎日みがいているのに歯周病やむし歯を発症してしまった」というかたの原因の1つが、ここにあるといえます。せっかくみがくのであれば、効果的なみがきかたをしたいですよね。 体のメインテナンスの仕方は、専門家から正しい指導を受け、身につけるとよいと思います。歯医者さんでは、患者さんそれぞれのお口に合ったオーダーメイドな歯みがき方法を教えてくれます。ぜひ一度受診して、あなたに合った方法を身につけましょう。 ではどんな人がむし歯になりやすいのでしょうか? メインテナンスを受けていない人はむし歯が多いのです。 7歳から20歳までに「毎年メインテナンスを受けていた人」と「そうでなかった人」を対象に、20歳時のむし歯の経験本数を調べました。 ●7歳から20歳まで毎年メインテナンスを受けていた人 むし歯は平均0.70本!さらに詳しく調べるとこのグループの70%がむし歯になったことがないのです。 ●7歳から20歳まで毎年メンテナンスを受けてなかった人 むし歯は平均3.7本!さらに詳しく調べるとこのグループの32.6%がむし歯になったことがないという結果になりました。 他にも6歳から12歳のグループ、12歳から18歳のグループと作って比較をしたときに、メンテナンスを受けていた方の方がむし歯の経験が少ないということがわかりました。 「やはりな」と思える結果ですが、数値で見ると検診、メインテナンスの重要性がわかりますよね。 〈むし歯菌が多い人はむし歯になりやすい&再発しやすい〉 お口の中にいるむし歯の原因菌(ミュータンス菌・ラクトバシラス菌)の量が、むし歯の発生、再発の危険性にどう影響するのか分析しました。 ●ミュータンス菌があまり多くない人 ●ミュータンス菌が多くメインテナンスに通ってない人 →新しいむし歯ができる危険性がもっとも高いグループは、ミュータンス菌が多く、メインテナンスを受けていないグループでした。一方、むし歯の再発(二次むし歯)の危険性は、ミュータンス菌やラクトバシラス菌の多い人ということでした。 つまり、新しいむし歯の発生を抑えるためにはメインテナンスが必要ですが、二次むし歯はメインテナンスの有無に関わらず発生すると解釈できます。それだけに、小児期からむし歯にさせないようにすることが大切だといえます。詰め物や被せ物の状態チェック(むし歯の早期発見、早期治療)するためにも、メインテナンスはかかせません。なお、メインテナンスが40歳以降の歯の喪失を抑制することも、当院の分析から明らかになっています。 《しりたい!矯正治療の話》 一般的な矯正治療の流れをまずご説明します。 ①医療面接 お悩みや治療に対する疑問などをお伺いします。治療方針や期間、費用についても詳しくご説明します。 ②診察、検査 お顔やお口のなかのレントゲンの撮影、歯並びの模型作りなどを行います。 ③分析・診断 セファロレントゲンをもとに、歯の位置や角度、上下のあごの形状を分析します。 ④治療計画の立案 治療の計画についてご説明します。 ⑤矯正装置の選択 治療計画に基づき、ワイヤー式にするのか、マウスピース式にするかなど、矯正装置を選択します。 ⑥矯正治療の実施 いよいよ矯正治療の開始です。装置により歯を動かしていきます。固定式のものは歯ブラシが難しくなるため歯科衛生士によるブラッシング指導を受けます。とりはずし可能な矯正装置の場合は装着してるときに歯が動く仕組みなのでお子さんなどはしっかり1日に必要な時間をつけれているか確認したり声かけするご家族の協力も必要です。 ⑦治療後の評価 セファロレントゲンを撮影して、想定通りに歯が動いているか調べます。 ⑧保定 矯正終了後そこで何もつけずにいると「後戻り」といって、歯を動かした分、歯は戻ろうとする力が働きます。なので矯正終了後に「保定装置」「リテーナー」と呼ばれるマウスピースの一種のようなものをはめて後戻り防止します。2年矯正装置をつけていた人は最低でも同じくらいの期間は保定装置をつけたほうがいいといわれています。 矯正治療を始めるにあたり、③で分析・診断を行ったときに、抜歯が必要と判断されることがあります。 例えば口元が出ているのを気にされて矯正される方や、出っ歯が気になるなどが主訴で来られる方が来院した場合、セファロ分析(レントゲン)などで口元が出てることがわかった場合、治療計画として、歯のでこぼこをなくし、かつ前歯を2mmほど後ろに下げるともっとバランスの良い口元になることがわかりました。そういった場合は人によりますが、上下の前から4番目こ歯“第一小臼歯”を抜歯することで、歯のでこぼこと口元が出ているのが改善されました。このように、矯正治療は綿密な計画を立ててから行われます。 もしこうした患者さんが、「抜歯をしたくない」と言って、無理矢理に抜歯を行わず、歯を並べたらどうなるでしょうか。もうお分かりかと思いますが、歯を支えているあごの骨(歯槽骨)から歯がはみ出してしまいます。そうなると口元が以前より出てしまったり、もっと怖いことは骨の裏打ちがなくなり、歯ぐきさがり(歯肉退縮)が起こってしまいます。矯正治療は後戻りのできない治療ですので、信頼できる矯正歯科医師に納得できるまで説明を受けてから、治療をはじめてください。 矯正治療中、固定式の装置をつけている方は特に歯ブラシが難しくなると先ほど書きましたが、ブラッシングはもちろんですがブラッシングの補助として洗口液もおすすめです。洗口液はたくさんの種類がありますが、ものによって目的が変わってきます。抗菌効果のあるもの、むし歯予防効果のあるもの、口臭予防効果のあるもの、大きく分けて3つになります。矯正装置の装着中は、むし歯にならないようにすることが大切なためむし歯予防効果のあるものがおすすめです。フッ化ナトリウムの濃度が0.05〜0.1%のものであれば1日1回、0.2%の物であれば週に1回、30秒〜60秒間洗口することで効果が得られます。そして、洗口後は30分飲食をしないことがすすめられています。各製品の使用用法を守って使用しましょう。