歯医者さんのホワイトニング 奈良県葛城市いまもと歯科クリニック受付の芦髙です。 ウェブ会議やビデオ通話の機会が多くなり、自分の口元や歯の色が気になるかたが増えています。 そこで思い浮かぶのが「歯のホワイトニング」 昨今、歯を白くするサービスや製品が巷にあふれていますが、効果的に白くしたいなら やっぱり歯医者さんのホワイトニングがおすすめです。 歯のホワイトニングといえば、歯科の領域です。でもいまの世の中には、セルフホワイトニングサロンや美白効果のある歯みがき粉をはじめ、「歯を白くする」サービスや製品がたくさんあります。それでも歯医者さんのホワイトニングが選ばれるのは、なぜなのでしょうか。 歯医者さんで行うホワイトニングとそうでないホワイトニング。まず違うのは、「歯科医師の診断や歯科衛生士の指導・サポートを受けられる」点です。最初に歯科医師がお口を診て、ホワイトニングが問題なくできるお口かを診断し、ホワイトニングを開始したら、しっかり効果が出ているか、適切に安全に使えているかを逐次見守ります。 くわえて、「使用する薬剤」も違います。歯医者さんのホワイトニングでは、過酸化水素(または過酸化尿素)を配合した薬剤を使用します。この薬剤には、歯を本来の他より白くする漂白効果があるのですが、歯科以外では使用が認められていません。 歯医者さんのホワイトニングは、自費治療のためたしかにお金がかかります。ですがこれらの違いを考慮すると、決して費用対効果(コストパフォーマンス)は悪くないといえます。 【歯医者さんのホワイトニング】 いわゆる、医療ホワイトニングです。 ○歯科医師の介在あり。歯科医師の診断に基づき、効果を高めるための指導や評価、サポートを受けられます。 ○過酸化水素(または過酸化尿素)を使用し、「歯を本来の色より白くするブリーチング(漂白)」を行います。殺菌作用にくわえ、歯質強化のチャンスにもなります。 ○同時に歯のクリーニングを行い、着色も除去します。 歯医者さんのホワイトニングには、歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、ご自宅でできるホームホワイトニングの2種類があります。歯科医師が診断したのち提案させていただきますので、好みに合うほうをお選びください。 ︎オフィスホワイトニング 歯科医院(dental ofice)で行うホワイトニングです。歯ぐきをレジンで保護した後、歯にホワイトニングの薬剤を塗布して特殊な光を照射。薬別を反応させて歯を漂白します。 反応が終わった薬剤は除去し、それから再び薬剤を塗布し光を当てます。 これを繰り返します。1~2回の施術で短期的に効果が出ます。 〈ポイント〉 ・薬剤には過酸化水素(30~35%)が配合されています。 ・高濃度のため、歯以外の場所に薬剤が触れないよう歯ぐきやくちびるをしっかり保護します。 ・歯に薬剤を塗布した後、薬剤の反応を活性化させる光を照射します。 ・基本的には歯医者さんにお任せです。 ︎ホームホワイトニング 歯科で診断と、適切な使い方の指導を受けてから、患者さんがご自宅(home)で行うホワイトニングです。歯科で製作したカスタムトレー(マウスピース)にジェル状のホワイトニング薬剤を塗布して、所定の時間、装着していただきます。 〈ポイント〉 ・薬剤には過酸化尿素(10~16%)が配合されています。過酸化尿素は歯の表面で徐々に過酸化水素に変わります。 ・患者さんの歯並びに合わせてつくられたカスタムトレー*を使用します。 ・通常、1日120分、2週間装着してもらいます。 ・使い終わったトレーは洗って保管します。ジェルは冷蔵庫に保管します。 *カスタムトレーとは? 患者さんの歯並びにぴったり合うように精密につくられたトレー(マウスピース)です。 歯型を取ってから模型をつくり、それにプラスチックのシートを圧着してマウスピースを成形し、手作業で形を整えます。歯にすき間なく密着するので、ホワイトニングの薬剤をまんべんなく歯に浸透させられます。 ホワイトニングの薬剤には、歯を白くするだけでなく、歯を強くする殺菌作用もあります。 ホワイトニングは、薬剤に配合されている過設化水素や過設化尿素が、歯の表面を覆う透明な保護膜「ペリクル」を除去し、漂白成分を浸透させることで起こります。 この「ペリクルがはがれる」というのが、じつは歯を強化するまたとないチャンス。ペリクルがはがれた状態は、唾液中のカルシウムやリン度、歯みがき剤などのフッ素(フッ化物)が歯に吸収されやすい状態です。 だから、ホワイトニング直後にフッ素CPP-ACP (非結晶性リン酸カルシウム)を塗布すると、歯を強くする効果が非常に高いのです。 ただし、保護膜がないというのは、着色しやすい状態でもあります。ですからホワイトニング直後は色の強い飲食物を避けるよう、歯医者さんで指導されるのですね。一度除去されたペリクルは2時間後くらいから再生しはじめ、1~2週間ほどで元通りになります(個人差あり)。 ホワイトニングの薬剤(過酸化水素や過酸化尿素)は、毒薬にも使われるオキシドールの仲間。殺菌作用があるのでお口の中全体のむし歯菌や歯周病菌を減らす効果が期待できます。とくにホームホワイトニングですと、毎日決められた時間、歯に薬剤を作用させるので、さらに効果は増加すると考えられます。 「ホワイトニングは歯を傷める」というイメージをおもちのかたもいらっしゃいます。でもそれはまったくの誤解です。 歯医者さんで使われるホワイトニングの薬剤が、歯にダメージを与えることはありません。 しかし、危険なホワイトニングもあります。「〇〇で歯をみがくだけで驚くほど白くなる!」なんて動画を、ネットで見たことはないでしょうか? ココナッツオイル、重曹、レモン果汁、炭、塩といった、身のまわりにあるもので歯を白くする「DIYホワイトニング」ともいうべきものです。 たしかにこれらは歯の着色汚れを落とし、白く見えるようになるのですが、その実、歯を溶かしたり削ってしまっています。 安価でできるからと手を出してしまうかたが多く、「ネットで見たのでやってみたら、歯がしみるようになった」という報告もみうけられます。 とくに重曹や炭、メラミンスポンジで歯をみがくのは本当に歯を傷つけますので、絶対におやめください。 歯科のホームホワイトニングの最新ツールとして、いま話題になっているのが「オパールエッセンスGo」。 ホワイトニングの薬剤があらかじめ塗り込まれたトレーを患者さんが自分で装着して、90分薬剤を作用させるというのを1日1回、10日間繰り返し、歯を白くしていきます。 トレーは1回ごとに使い捨てで、10個で1セットです。 これの何が画期的かというと、「薬剤に6%の過酸化水素を使用している」点。過酸化水素はオフィスホワイトニングで使う薬剤と同じ。だから従来のホームホワイトニングの 120分より短い90分でできるのです。 すでに型ができた既製のトレー(ユニバーサルトレー)を使うため、ちょっとホワイトニングに興味があるというかたが気軽にトライできるのもメリット。ホワイトニングの敷居を低くする製品といえます。 トレーは変形して、ある程度歯にフィットしますが、歯並びや歯の長さによっては歯を十分に覆えないことがあります。 そうしたかたは、その人のお口にぴったり合ったカスタムトレーを使う、従来のホームホワイトニングがおすすめです。 【それ以外のホワイトニング】 いわゆる、非医療ホワイトニングです。 ○歯科医師の介在なし。 ○過酸化水素(または過酸化尿素)は使用しません ○「歯の本来の色を取り戻す着色除去」がメインです。 ・OTCホワイトニング 米国をはじめ海外では、お湯でふやかしてつくるトレーや、歯に貼るシート、塗り薬など、いろいろな歯を白くする製品がドラッグストアで販売されています。いわゆる「オーバーザカウンター(OTC)ホワイトニング」と呼ばれるものですが、安価だからと、ネットでそれらの製品を購入する際はご注意を。 日本に入ってくる製品には、医療関連の法律により、過酸化物(過酸化水素・過酸化尿素)は含まれていません。つまり、歯科のホワイトニングで使われる、漂白効果のある薬剤は含まれていないのです。そのため歯医者さんのホワイトニングに比べたしかに手ごろな価格ではありますが、効果は限定的といえます。 ・歯みがき剤のホワイトニング 美白効果のある歯みがき剤には、歯を白くしてくれるだけでなく、むし歯や歯周病予防などの成分が含まれたものもあります。これらはすばらしい製品ですが、この美白効果は、歯医者さんのホワイトニングとは仕組みが違うことをご存知でしょうか。 こうした歯みがき剤に含まれている成分ーポリエチレングリコール(PEG) やポリビニルピロリドン(PVP)、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどには、着色汚れを浮かして落とす作用があります。つまり着色汚れを落とすことで、歯を白くしてくれるのです。 「無水ピロリン酸ナトリウム」による着色除去の仕組み ① マイナスに荷電(−)したステインは、プラスに荷電(+)した歯の表面のカルシウムイオンとかたく結合しています。 ② そこに、マイナスに荷電(−)した歯みがき剤のピロリン酸イオンが入り込み、ステインとの結合を弱めます。 ③ 浮き上がったステインを清掃剤と歯ブラシで落とします。 ・セルフホワイトニングサロン 道具や装置が用意されていて、スタッフのレクチャーのもと、利用者自身がホワイトニングを行う「セルフホワイトニングサロン」。歯科医院で受けられるホワイトニングとは、次の点で異なります。 ○歯科医師が介在しない:歯科医師による医療的な診断や、歯科衛生士による指導やサポートはありません。 歯科医院なら、むし歯や歯周病になっている歯の発見や治療もしてもらえます。 ○使用する薬剤が違う:歯科で用いられる薬剤(過酸化水素や過酸化尿素) は、セルフホワイトニングサロンでは使用が許可されていません。使われるのは、二酸化チタンやポリリン酸ナトリウムなど「歯の着色汚れを落とすもの」が主です。 着色汚れが落ちるので、もちろん歯はある程度白くなりますが、歯医者さんのホワイトニングで使われる薬剤のように、歯を漂白する作用はありません。 最後に、ホワイトニングを受ける前や受けたあとによくある質問を集めてみました。 ◎思ったほど白くならない・・・・・・ ホワイトニングの効果は、治療前の患者さんの歯の色調や歯質により、個人差があります。そのため患者さんが希望する白さにまでは、改善が難しいこともあります。 また、ホワイトニングの効果は永続的に続くものではありません。白さを維持するには、定期的な再ホワイトニング(「タッチアップ」といいます)が必要です。 意外に知らないかたが多いのが、ホワイトニングで詰め物や被せ物の色調は改善されないこと。 ホワイトニングをした天然歯と色調の差が目立つようになった場合は、詰め直しや被せ物のつくり直しが必要となります。 ◎ホワイトニング後に歯がしみる!? 「歯医者さんでホワイトニングを受けたら歯がしみた!」というのもよく聞くご相談です。これはホワイトニングの薬剤の作用で、一時的にペリクルがなくなったために起こります。 ペリクルは歯を保護する極薄の膜のことでしたね。数時間たってペリクルが再生すれば、しみる症状は収まります。 人によってしみる・しみないに差があるのは、刺激に対する歯の神経の感受性や、その人のペリクルがどれくらい遠く再生するかが異なるためです。個人差はあるものの、時間がたてば必ずしみる症状は消えていきます。 ◎歯周病は先に治療しないとだめ? ホワイトニングの薬剤に含まれる過酸化水素は、消毒薬として使われる「オキシドール」(3%の過酸化水素)と同じです。これが高濃度になったものが、オフィスホワイトニングに使われる薬剤です。 オキシドールは止血に使われますよね。だから歯周病により歯ぐきに炎症が起きて、出血している状態でホワイトニングの薬剤を使うと、薬剤が先に出血に反応して、歯を白くする効果が弱まってしまいます。 ですから歯周病のかたは、事前に治療を受けて歯ぐきの炎症を抑えてから、ホワイトニングを受けましょう。 ◎トレーが壊れた!変形した! トレーが破損や変形したときは、ホワイトニングを受けた歯科へご相談ください。修理やつくり直しをさせていただきます(有料)。「トレーが歯ぐきに当たって痛い」というときにも調整させていただきます。 使っているうちにすり減って穴が開く以外にも、踏んでしまった、重いものを乗せてしまったなど、破損や変形の理由はさまざま。なかにはトレーを外して置いていたら、ペットの犬がガジガジ噛んでしまったというかたも・・・・・・。ワンちゃんが噛んでしまうのを防ぐためにも、外した後は専用のケースに入れて保管するのが安心です。 ◎ホワイトニングは誰でも受けられる? 無カタラーゼ症*や光線(紫外線)過敏症、重度の呼吸器疾患があるなど、持病や体質によってはホワイトニングを受けられないかたもいます。また、歯の根がまだできあがっていない小児や若年者、妊娠中や授乳中のかたも避けたほうがよいといわれています。 ご自分がホワイトニングを受けられるかは、歯医者さんで判断してもらいましょう。 *過酸化水素を分解する「カタラーゼ」が不足している病気。 ◎内側からのホワイトニングもある! 歯をぶつけたなど、「外傷」による歯の変色や、重度のむし歯などで神経(歯髄)を取った歯の変色は、通常の「外側からのホワイトニング」では白くできません。歯に穴を開けて薬剤を詰め、内部から漂白する必要があります。これはまさに歯科でしかできないホワイトニングです。 笑顔の印象を変えるたいかた、歯の白さを求めるかたにはホワイトニングはとても有効な手段です。また、審美的なところだけではなく、歯を強くする予防の観点でもホワイトニングは効果があります。 今日のこのブログを読んで歯医者さんでのホワイトニングを検討をしてくださったかたにおすすめなコースとして、当院では「ホワイトニングジャンプスタート」というホワイトニングを本格的に始められるコースがあります(予算およそ22000円)。また、気軽に試せる歯みがき剤のホワイトニングもありますので、みなさんの希望にそったホワイトニングを提供できるようにしております。 ホワイトニングについてのパンフレットもありますので、興味がでたかたは気軽にスタッフにお声がけくださいね。