歯の脱灰と再石灰化|いまもと歯科クリニック|奈良県葛城市の歯医者

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歯の脱灰と再石灰化

「脱灰」と「再石灰化」という言葉は、一般の患者さんにもなじみ深い言葉になってきましたね。脱灰は、虫歯菌のつくる酸などの作用により歯の成分が溶け出してしまうこと。再石灰化は、その溶け出した成分が歯に戻ることをいいます。 歯を構成する「エナメル質」や「象牙質」という言葉は知っている方も多いでしょう。歯の内部には神経と血管があり、そのまわりを象牙質が、またそのまわりをエナメル質が覆っています。でも、エナメル質や象牙質がどんな構造になっているかご存知でしょうか「ハイドロキシアパタイト」の結晶からできています。虫歯予防のキーワードである、歯が溶ける「脱灰」と「再石灰化」は、エナメル質や象牙質におこる内部構造の変化です。 エナメル質には、エナメル小柱が上下左右に規則正しく並んでいます。小柱は六角柱状と表現されることもありますが、実際にはかぎ穴または魚のような形をしています。小柱の内部はハイドロキシアパタイトの結晶が規則正しく並んでいます。一方象牙質は、コラーゲン線維とハイドロキシアパタイトの結晶の複合構造となっています。タンパク質でできたコラーゲン線維がスパゲッティのように複雑に重なり合い、その線維のまわりにハイドロキシアパタイトの結晶が付着しています。象牙質にぽっかり空いている穴は「象牙細管」歯髄から象牙質の中に延びる細い管で、象牙質全体に無数に存在します。 脱灰とは、細菌のつくる酸などにより、歯の成分が唾液中に溶け出してしまうことを言います。溶け出した成分は、ふつうは唾液の作用により時間をかけて歯の中に戻っていく(再石灰化)のですが、そのスピードはゆっくり。溶け出す量(脱灰)の方が多い状態が続くと、修復が間に合わず、やがては穴の開いた虫歯になります。 再石灰化は唾液に脱灰で溶け出た歯の成分(カルシウムやリン酸)が含まれており、唾液に溶け出た成分が歯の内部に戻って沈着することを言います。つまり歯が修復されます。虫歯予防に使われるフッ素には、その戻るスピードを速め、さらに結晶を強くする力があります。ちなみに、結晶は修復・再生されても、歯自体は健全な状態に元通りとはいかないことが多いです。ですから、脱灰が進まないようにしつつ、再石灰化を促すお口の環境を維持することが大切です。そのためには食生活の見直しとフッ素を用いたセルフケア、そして定期的な歯科受診が欠かせません。

いまもと歯科クリニック
歯科医師
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