歯が痛い時だけじゃない!歯医者に通う大切さ
超高齢社会の日本では、健康に長生きするためのカギとして、お口の健康が注目されています。なぜむし歯がないの歯医者に行くべきなのか?お口の健康の大切さ、通うべき5つの理由をお話しします。
1歯周病の治療が糖尿病の改善に役立つ
歯周病と糖尿病は一見似ている所がないように思いますが、「炎症を起こす」という点で共通している互いに関連性が強い病気です。ヒトの膵臓から分泌されるインスリンという血糖を下げるためのホルモンが十分に働かなくなり、血液中を流れるぶどう糖を体内に取り込めなくなると高血糖になります。インスリンが働かなくなるケースは、インスリンの分泌自体が減っている、またはインスリンの効きが悪くなる2つですが、インスリンの効きが悪くする原因が、体の中で起こる炎症です。脂肪をため込んだ内臓脂肪は、免疫細胞を刺激して体に炎症を起こします。その時生まれる炎症物質が血流にのって体内に広がり、インスリンの邪魔をします。歯周病も口に腫れや痛みなどの炎症を起こし、その結果生じた炎症物質が同じように血流にのって体内に広がり、インスリンの邪魔をするのです。つまり、歯周病になることで、糖尿病を悪化させてしまいます。逆に言うと、歯周病を治療することで、口からの炎症が抑えられ、糖尿病にも良い影響を与えることができるということです。
2歯周病が認知症の進行に関与?
歯周病菌のなかに、Pg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)と呼ばれる菌がいます。歯周病が進行し、ひどい炎症を起こした歯ぐきは床ずれのようにグズグズになっており、その傷口からPg菌を含む菌が体内に入ります。Pg菌が体内に入るとどうなるのか、近年、Pg菌が脳に行ってしまうと、たんぱく質分解酵素で神経細胞を変性させ、アルツハイマー型認知症を進行させている可能性があることが分かりました。加齢に伴い歯周組織や免疫が弱まると、歯周病になりやすくなります、だからこそ元気なうちから歯周病を予防すること、なってしまったら歯医者の力を借りて悪化させないように管理していくことが大切です。
3きれいなお口は感染症予防の基本
誤嚥性肺炎は、唾液や飲食物に含まれる細菌が誤って肺に入り込み、そこで繁殖して肺炎を起こします。のどまわりの筋肉が衰えた高齢の方がかかることが多い病気です。誤嚥性肺炎の予防には、専門家による口腔ケアが有効であることが複数の研究からあきらかになっています。お口の中、つまり唾液に含まれる細菌が減ることで、誤嚥が起こっても肺炎につながる危険性が減ります。予防には、歯医者で定期的にお口をクリーニングすること、セルフケアの指導を受けてご自身の歯みがきをレベルアップすることが必要です。
4歯を失うほど寝たきりになりやすい
福岡県のある町の住民を対象とした研究で、要介護状態の高齢者とそうでない高齢者各62人に対し、要介護状態になった原因疾患、治療歴、生活習慣、要介護機関、そして残っている歯の本数について聞き取り調査を行ったところ、結果は、「歯が10本未満の人は寝たきりになるリスクが15倍になる」というものでした。歯を残すために大切なのは、日頃からの丁寧なセルフケアと、歯医者に定期的に通うことです。
5予防の仕方を教えてもらえる
野球やゴルフのスイングのように、歯みがきにも一人ひとりに合った適切なフォームがあります。歯医者でお口を見てもらって、歯みがきの指導を受けましょう。また、一回きりではなく、定期的にフォームが崩れていないか見守ってもらうのも大切です。
このように、歯医者に通う理由は、むし歯を治すだけでなく、たくさんの大切な理由があります。定期的に通って、自分の体を守っていきましょう。