
「親知らずを抜きましょう」と言われたことがありますか?
みなさんは、「親知らずを抜きましょう」と言われたことがありますか?
日本人のあごの骨格は近年ますます小さくなっています。いま「ますます」と言ったのは、もともと日本人のあごの骨格は、欧米人に比べて奥行きがなく小さいからです。
そのためスペースが足りずに、親知らずがとんでもない方向やとんでもない位置に生えてしまう「萌出異常」は、現在の日本人にとってたいへん身近なケースになっています。
現代の日本人は軟らかいものを食べ、噛む回数が少なくなりそれにつられてあごが小さくなって顔が細くなり、エラが張ったような方は少なくなりました。親知らずは、一番最後に生えてくる奥歯です。標準的には18歳~20歳くらいで生えてきます。しかしそのころには、ほかの永久歯はすっかり生えそろっているので、あとから生えてくる親知らずのためのスペースはすでになくなっているわけです。なぜなら、ほかの歯の大きさは、あごが大きかった頃と変わらないからです。しかし一方親知らずは、現在退化傾向にあって、少しずつ小さくなっています。また退化傾向の影響で歯全体の噛み合わせに寄与する力も小さくなっています。それで現在では、親知らずはなくても困らない歯になってしまいました。親知らずは、抜いてしまってもその後困ることはない歯だということは分かってもらえたかと思います。しかしそうかといって、どんな親知らずでも抜くことをすすめるわけではありません。萌出異常の親知らずを抜くには、一定の困難を伴います。まっすぐ生えていて、上顎と下顎の親知らずがしっかりと噛み合っている場合は、抜く必要はありません。大事にケアして長く使うことができればそれに勝ることはないのです。


記事監修者

いまもと歯科クリニック歯科医師 今本裕紀
【経歴】
- 四天王寺中学校卒
- 四天王寺高校卒
- 大阪大学歯学部卒
- 勤務医を経て2010年「いまもと歯科クリニック」を
奈良県 葛城市北花内にて開院
いまもと歯科クリニックでは、むし歯や歯周病などの治療はもちろん、インプラントや分子栄養療法といった治療まで幅広く対応しています。お口の健康と心からの笑顔を地域のみなさんに届けできるよう、最善を尽くしております。