痛くない治療のために~歯科麻酔を知ろう~
痛くない治療のために~歯科麻酔を知ろう~
ちょこっと塗ってもらうだけで注射のちくっとする痛みが無くなってホッとしたことはありませんか?麻酔は、歯の治療をするときにかかるストレスをやさしくやわらげるたいせつな治療の一部です。痛くない治療により近づくために歯科の麻酔にはさまざまな工夫がこらされています。
局所麻酔は、限られた箇所だけに麻酔が効くようにする方法です。つまり、「全身麻酔」に対して、「局所」で効く麻酔のことです。治療への痛みをなくすことはもちろん、治療にまつわる精神的なストレスを軽減させることにもたいへん役立っています。現在の日本でもっとも広く使われている局所麻酔薬が一般化したのは、60年程も前のこと。歯科のあらゆる臨床場面で使われている、たいへん信頼性の高い薬品だといえるでしょう。
麻酔の歴史は全身麻酔から始まりました。局所麻酔が用いられるのは全身麻酔の臨床応用がはじまってから50年ものちのことになります。麻酔をからだの必要な箇所だけに効かせるという「局所麻酔」の発想は、当初はありませんでした。局所麻酔をするにはまず、注射が発明されることが必要だったからです。しかもからだの中に直接針で薬を注入したときに化膿しないように、消毒薬も必要でした。こうした器材や薬品が生み出されてはじめて、局所麻酔が可能になったというわけです。現在の局所麻酔には塗布する方法も含めて、用途や症例に応じて3種類の方法が使い分けられています。
1つ目は、表面麻酔です。注射は使わず、麻酔薬を歯ぐきや粘膜に塗ったり、吹き付けて行なう局所麻酔法です。
2つ目は、浸潤麻酔です。注射器を使って行なう麻酔で、治療を行なう場所の近くに麻酔薬を注入する方法です。
3つ目は、伝達麻酔です。浸潤麻酔より、さらにあごの奥の方まで打つ麻酔です。注射を行なうとグッと押されるような感覚があり、あごがドーンと重くなるような感覚になる麻酔は、この伝達麻酔です。