歯周外科手術を受ける前に知っておきたい術後の注意点と日常生活の制限|いまもと歯科クリニック|奈良県葛城市の歯医者

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歯周外科手術を受ける前に知っておきたい術後の注意点と日常生活の制限

歯周外科手術を受ける前に知っておきたい術後の注意点と日常生活の制限

歯周外科手術の術後の制限は「どの組織を整えるか」で決まる


歯周外科手術のあとに気をつけることは、決まった休みの日数ではなく「歯を残して噛むために、どの組織をどこまで整える手術か」によって変わります。骨の再生をめざす処置か、上あごから歯ぐきをとって移植する処置かで、手術のあとに避けたい動きやケアする場所がちがうためです。


この記事では、手術のねらいや広さによる治り方のちがいから、食事・歯みがき・お酒・たばこの注意、持病や飲んでいる薬の伝え方、早めに連絡したい症状の目安までまとめました。治療の方針や手術の時期を歯科医師に相談するときの参考にしてください。


この記事の要点まとめ


  • 手術のあとに気をつけることは、骨をとりもどす手術か歯ぐきの移植かなど、手術のねらいや広さによって変わります。
  • 歯ぐきの移植では、移植した場所と上あごの組織をとった場所のケアや、食事・歯みがきのしかたをたしかめます。
  • お酒・たばこ・運動、持病や飲んでいる薬のことは前もって伝え、自分あての指示や連絡の目安を知っておきましょう。

歯周外科手術の術後の注意点は、手術の目的と処置範囲で変わる


術後の予定を考える前に、歯を残す目的と期待できる機能を確認する


歯周外科手術の日程を考えるときは、まずその手術で歯を残せる可能性と、残した後に噛む機能を期待できるかを確認することが先決です。家が立派でも土台となる土地が不安定では快適に暮らせないように、歯を残すためには歯そのものだけでなく、支える歯ぐきや顎の骨が健康な状態であることが求められます。


重度の歯周病で抜歯と診断された歯であっても、歯周外科治療によって保存を目指せる場合があります。ただし、形だけ歯を残せても、その後に噛む機能を期待できるかどうかまで含めて判断しなければなりません。まずは歯周外科治療で歯を残す努力をし、それでも残すことが難しい、あるいは残した歯に十分な機能を期待できない場合に、次の治療手段を検討するという順序で整理します。術後の制限が少ない時期を探すことだけで決めるのではなく、歯を残す目的と生活への影響の両面から歯科医師へ相談しましょう。


「何日休めばよいか」だけで考えにくい理由と、よくある誤解


歯周外科手術のあとの治り方は、骨のなくなり方や切る範囲、処置する歯の本数によって一人ひとりちがいます。たとえば、歯を支える骨がどんな形でなくなっているかが再生療法のあとの治り方に関わるという報告1や、歯ぐきをどこまで切るかの設計(フラップデザイン)が傷の治り方や血のかたまり(血餅)の落ち着き方に関わるという研究2があります。


そのため、「同じフラップ手術という名前なら回復日数も同じ」「外見の腫れが引けば歯みがきも普段どおりでよい」とは言い切れません。自分の場合はどの部位をどの程度切開するのか、処置範囲に沿った個別の説明を受ける必要があります。


抜糸・再診の時期を聞いてから、商談・会食・送迎の予定を組む


手術後のスケジュールは、抜糸や消毒・再診の予定日を歯科医師に聞いてから組むと、予定を立てやすくなります。手術で縫い合わせた傷の糸は、ふつう1〜2週間ほどで抜きますが、それより早く抜くこともあります3。


上顎から歯ぐきを採取する移植の場合、当院では「腫れは3日後頃がピークで、10日〜2週間で徐々に落ち着く」「顎の一部が青から黄色に変わることがある」と案内しています。この色の変化は、治る過程でみられるものとして説明しています。


人前で話す商談や会食、家族の通院送迎などの予定がある方は、手術当日から数日間の過ごし方と再診の間隔を確認したうえで調整してください。当院では、手術の日程はなるべく大きな行事がない時期をおすすめしています。会食や大きな行事は手術の直後を避け、術後1週間ほどは手術した側で硬いものを食べない前提で予定を組みましょう。


ポイント

術後の予定は、決まった日数で考えずに、手術する場所や広さに合わせた腫れの見通しと、抜糸や再診の日にちを聞いてから組み立てます。


骨の再生か歯ぐきの移植かで、術後に確認したい部位とケアが異なる

骨の再生か歯ぐきの移植かで、術後に確認したい部位とケアが異なる

骨の再生を目指す手術では、処置内容と術後の指示を確認する


歯周病でなくなった顎の骨を取り戻す再生療法では、手術したところに無理な力やばい菌が加わらないよう、術後の管理が大切です。これまでの歯周病の治療では、炎症をおさえて進行を止めることはできても、一度なくなった骨を元に戻すのはむずかしいとされてきました4。そこで、患者さんご自身の骨の一部や骨補填剤と呼ばれる材料、組織の再生をうながす薬などを使い、失われた骨の量や厚みを取り戻すことを目指します。


再生療法は、患者さん自身の治癒力に加えて、術後の力のコントロールや感染予防が経過を大きく左右します。当院では、術後の約1週間は手術した側で硬いものを食べないこと、1か月は歯間ブラシを通さないことを案内しています。どの部位にどの材料を使う予定か、術後に避けたい動作や清掃の再開時期を事前に確認しておきましょう。


手術の種類主な目的と処置内容術後にケア・注意が必要な部位
骨の再生療法自身の骨や骨補填剤等を用い、失われた顎の骨の量・厚みの回復を目指す手術した歯ぐきと骨の周辺(噛む力・歯間ブラシの制限など)
遊離歯肉移植術(FGG)上顎から歯ぐきを採取して移植し、硬く動かない歯ぐきを確保して清掃しやすくする移植先の歯ぐき+上顎の組織を採取した部位
結合組織移植術(CTG)上顎から内部の組織を採取して移植し、下がった歯ぐきを補い知覚過敏やむし歯を防ぐ移植先の歯ぐき+上顎の組織を採取した部位

※上記は処置ごとの一般的な特徴を整理したものです。実際の制限期間やケア方法は口腔内の状態により異なります。


歯ぐきを移植する場合は、移植先と上顎の採取部位のケアを確認する


歯ぐきの移植手術を受ける場合は、移植した場所だけでなく、組織を採取した上顎(口蓋)の傷口も術後のケア対象になります。歯の周りにある「硬く動かない歯ぐき」が不足していると、食事や歯みがきの刺激で痛みが出やすく、汚れもたまりやすくなります。そのため、上顎から歯ぐきの組織を採取して歯根部やインプラント周囲へ移植する遊離歯肉移植術(FGG)が行われることがあります。


この処置は、将来にわたってお手入れがしやすい口腔環境を整えることも目的に含まれています。術後は上顎の採取部位に止血剤を入れることがあり、膨らんでぶよっとした感触が触れることもありますが、治癒過程の一部として経過をみます。手術部位の周囲は傷口に毛先が当たらないよう、やわらかく細い部分用歯ブラシなどでどう磨けばよいかを確認しておきましょう。


歯ぐきの移植は、治療目的も踏まえて術後の注意点を聞く


同じ歯ぐきの移植でも、なんのために行うかによって、とる組織の層や手術のあとに気をつけることがちがいます。そのため、自分が受ける手術のやり方をくわしく聞いておくことが大切です。歯周病や強い歯みがきなどで歯ぐきが下がり、歯の根が出てしまったときには、上あごの歯ぐきの内側から組織をとって移植する結合組織移植術(CTG)や、根面カバーと呼ばれる処置が行われます。


これは見た目の変化に対応するだけでなく、冷たいものがしみる知覚過敏や、露出した根元のむし歯を防ぐ目的があります。なお、歯ぐきの移植や骨の再生療法には、公的医療保険が使えない自由診療となるものがあります。


当院では、根面カバーや歯ぐきの移植を66,000円、インプラントとあわせて行うFGGを1ブロック5万円として公式サイトでご案内しています。一般的には、骨の再生療法の費用は処置の範囲によって異なり、診察のあとに案内されます。腫れや痛み、出血、移植片の生着不全といったリスク・副作用も含め、治療目的とあわせて確認してください。


食事・飲酒・喫煙・服薬と連絡の目安は、個別の指示を優先して備える

食事・飲酒・喫煙・服薬と連絡の目安は、個別の指示を優先して備える

術後の食事と歯みがき・洗口は、手術部位と採取部位で分けて考える


術後の食事は手術していない側で噛むことを基本とし、傷口を刺激しないやわらかいメニューを事前に準備しておきます。手術後1週間ほどは処置した側で硬いものを噛むのを控え、熱いものや辛いものなど刺激の強い飲食物も避けましょう。上顎から歯ぐきを採取した場合は、舌や食べ物が上顎の傷口に当たりやすいため、おかゆやうどん、スープなど飲み込みやすい食事が適しています。


また、血餅(傷口を覆う血の塊)が剥がれると出血や痛みの原因になるため、強いうがいは控えてください。手術部位や採取部位の歯みがきをいつから再開できるか、抜糸までの間はどの器具を使って周囲を清掃するかを歯科医師に確認し、食事の支度など家族に協力を頼む範囲を手術前に話し合っておくと落ち着いて過ごせます。


飲酒・喫煙・運動・入浴は、制限の内容と解除の判断を聞いておく


飲酒や激しい運動、長時間の入浴など血行が良くなる行動は、術後の出血や腫れを強める要因になるため一定期間控える必要があります。お酒を飲むことや湯船にゆっくりつかることは、血の流れがよくなって出血や痛みにつながるため、控えるよう案内されることがあります。当院では、お酒は手術の1週間後から再開するよう案内しています。


特に喫煙は傷の治りを妨げる要因になるため、歯周外科治療の前後は控えることが大切です。電子タバコも治りに影響するおそれがあるため、同じように控えるよう案内されます。毎晩の晩酌や喫煙の習慣がある方は、責められるのではないかと遠慮せず正直に歯科医師へ伝え、手術前後いつからいつまで控えるべきか、解除の判断基準を具体的に聞いておきましょう。


糖尿病の治療状況と服用中の薬は手術前に伝え、処方薬は指示どおりに使う


糖尿病などの持病がある方や日常的に服用している薬がある方は、手術の計画を立てる段階で歯科医師へ申告してください。血糖のコントロール状況は傷口の治癒や感染への抵抗力に関わるため、内科の主治医との連携や手術時期の調整が必要になる場合があります。お薬手帳を持参し、現在の数値や飲んでいる薬をもれなく伝えましょう。


手術後には、抗菌薬や痛み止めが処方されることがあります。抗菌薬は指示された日数を飲み切り、痛み止めは指示された使い方を守ってください。もし自宅に以前処方された抗菌薬が残っていても、自己判断で服用することは避けてください5。処方された薬を飲んでも痛みが治まらない場合や、体調に変化が出た場合は、自己判断で薬を追加せず受診先へ連絡しましょう。


早めに連絡したい症状と、奈良県葛城市の当院へのご相談


術後の症状のうち、どこまでが通常の経過で、どのような変化があれば早めに連絡すべきかを事前に把握しておくと緊急時も慌てずにすみます。


  • 様子をみてよいことが多い変化:唾液に血がにじむ程度の出血、術後3日頃をピークに徐々に引いていく腫れ、処方された痛み止めで落ち着く痛み、歯ぐきの移植後、顎の一部が青〜黄色くなるあざ
  • 早めに連絡したい症状:清潔なガーゼを噛んで圧迫しても止まらない出血、日を追って強まる腫れや痛み、高い熱が出たとき、傷口から膿が出る・強い口臭がするといった変化

夜や休みの日に血が止まらないときの連絡のしかた(電話や医院の公式LINEなど)も、手術の前にたしかめておきましょう。奈良県葛城市で歯周外科手術や歯を残す治療を考えている方は、いまの歯周病のようすや糖尿病の治療のこと、お仕事やご家族の送り迎えといった予定もふくめて、あきらめずにぜひ一度私たちにご相談ください。


ポイント

お酒やたばこの習慣、糖尿病で飲んでいる薬のことは前もって正直に伝え、困ったときの連絡のしかたとあわせて、自分あての指示を聞いておきましょう。


よくある質問(FAQ)


Q. 歯周病の手術中や手術後は痛いですか?


手術中は局所麻酔を行うため、処置中の痛みは抑えられます。麻酔が切れた後はじんじんとした痛みや違和感が出ることがありますが、処方される痛み止めを服用することでコントロールできる場合がほとんどです。薬を飲んでも強い痛みが続く場合は、早めに受診先へご連絡ください。


Q. 口の中を抜糸するまでの期間はどのくらいですか?


歯周外科手術で縫合した糸は、おおむね1〜2週間程度で抜糸することが一般的です3。ただし、骨の再生療法や歯ぐきの移植など、処置の種類や傷の治り具合によって抜糸の時期は前後します。抜糸までの間は、糸が気になっても舌や指で触れないようにしてください。


Q. 歯科におけるフラップ手術(歯肉剥離掻爬術)の手順はどのようなものですか?


基本的な歯周病治療(スケーリングやルートプレーニング)を行っても深い歯周ポケットが残る場合に検討されます。局所麻酔をしたうえで歯ぐきを小さく切開してめくり、歯の根の奥深くに付着した歯石や感染した組織を直接確認しながら取り除き、歯ぐきを元の位置に戻して縫合します。翌日以降の消毒と、1〜2週間後の抜糸を経て経過を観察します3。


Q. 溶けてしまった歯槽骨は、手術をせずに自然や歯石取りだけで再生しますか?


歯周病で溶けてしまった歯槽骨を、自然の治りや歯石取りだけで取り戻すのは難しく、骨の再生を目指す場合は再生療法を検討します。歯石取りは炎症を抑えて進行を食い止めるための処置であり、失われた骨の量や厚みを取り戻したい場合には、骨補填剤や再生を促す薬剤を用いる歯周組織再生療法などの外科処置を検討する必要があります4。


参考文献


1. Nibali L, Sultan D, Arena C et al. Periodontal infrabony defects: Systematic review of healing by defect morphology following regenerative surgery. Journal of clinical periodontology. 2021. PMID: 33025619 / DOI: 10.1111/jcpe.13381

2. Windisch P, Iorio-Siciliano V, Palkovics D et al. The role of surgical flap design (minimally invasive flap vs. extended flap with papilla preservation) on the healing of intrabony defects treated with an enamel matrix derivative: a 12-month two-center randomized controlled clinical trial. Clinical oral investigations. 2022. PMID: 34491446 / DOI: 10.1007/s00784-021-04155-5

3. 青森労災病院「うみねこ通信 平成16年4月」 https://www.aomorih.johas.go.jp/guide/umineko/2004/4.php

4. 最新の歯周組織再生療法 | 東北大学医療系メディア〈LIFE〉. https://www.life.med.tohoku.ac.jp/knowledge/34265/

5. 政府広報オンライン「抗菌薬が効かない『薬剤耐性(AMR)』が拡大!一人ひとりができることは?」 https://www.gov-online.go.jp/article/201611/entry-10538.html


今本 裕紀

歯科医師


いまもと歯科クリニック

院長

今本 裕紀

▶ 監修者プロフィール

経歴
四天王寺中学校卒
四天王寺高校卒
大阪大学歯学部卒
勤務医を経て
2010年「いまもと歯科クリニック」を奈良県 葛城市北花内にて開院
資格・所属学会
日本歯周病学会認定医
インプラントメーカーインストラクター
IDIAドミニカインプラント、サイナスリフト実習セミナー 受講
Botis人工骨、BGR(骨再生誘導)セミナーinシンガポール 受講
CGF(完全自己血由来フィブリンゲル)セミナー 受講
マイクロサージェリーインプラント・歯肉移植、実習コースセミナー 受講
牛ぐぼエンドアドバンスコース 受講
石井エンド 受講
JIADS 受講
SJCD 受講
JIPI 受講
JPI 受講


記事監修者

いまもと歯科クリニック歯科医師 今本裕紀

【経歴】

  • 四天王寺中学校卒
  • 四天王寺高校卒
  • 大阪大学歯学部卒
  • 勤務医を経て2010年「いまもと歯科クリニック」を
    奈良県 葛城市北花内にて開院

いまもと歯科クリニックでは、むし歯や歯周病などの治療はもちろん、インプラントや分子栄養療法といった治療まで幅広く対応しています。お口の健康と心からの笑顔を地域のみなさんに届けできるよう、最善を尽くしております。

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